2006'04.16.Sun
こんばんは、昨日BLOOD+を見損ね、失墜の管理人です。
いやあああああああああ、ハジが見れなかったよう。一週間の楽しみといえば、ハジを見ることだったのに(大げさすぎ)
サイトの更新作業していたら、あっちゅうまに六時半過ぎてました。思わずよろめいてしまった、夕刻なのです。
それでもって、今夜の殺りんは……覚え書き。
「半妖」「残酷」と、時間軸が違う同設定のお話を書いたので、連作風にもうちょっと書いてみたいなと思ったのです。拍手でコメントも貰ったのでv
某K様、拍手コメント有り難うございますvv 半妖気に入って下さったので、調子に乗った私の妄想も膨らみました。
で、書きたいシーンの覚え書きをしておこうと思ったのです(苦笑)
多分、何かこじれるようなことがあって、見事にこじれた後だと思って下さい。
私はこういう殺生丸様が、結構好きですv
あとで回収する時は、台詞こそ同じだと思いますが、地の文章が色々加筆されているかと思われます。
りんは衣擦れの音で目が覚めた。
頬には柔らかな感触。上等の絹だとは、すぐに知れた。何しろ、この屋敷で一番良い部屋にいるのだから、当たり前だろう。
目を開ける瞬間の何とも云えない、心地が胸を満たす。僅かばかりの期待と緊張。淡い恥じらいと、身体に残る倦怠感。
この時まで、りんはまだ幸せだった。
色々と心身共に辛いことがあったが、しかし全て洗い流せる。消えてしまうと、信じていた。彼女は昨夜の熱を覚えている。つま先から、指先まで、全部が覚えていた。
忘れるはずがない、忘れるはずもない。
女性のしたたかさというのか、打算と云うべきか。りんには一つ確信があった。いくら彼でも、無かったことには出来まい。例えそれが一方的な要求でも、首を縦にしたのは男の方。
ならば、その後のことでさえ縦に振るだろうと、そんな事も含めて、りんは妖に願ったのだ。
これが最期の綱、望みの一歩。
りんには最初から、何も無い。この自分の身体一つ以外、何も持ち合わせていないのだ。
だからどうか、自分だけを見て欲しいと希う。
うっすらと目を開ける。
望む相手は隣には既にいなく、黒い瞳が虚空を彷徨う。それから、小さく名を呼んだ。
「殺生丸様―――」
娘は知らなかった。
殺生丸という男がどんな者であるかを、彼女は見誤っていたのだ。
「起きたか」
鋼の声が響いたのは、そんな時だった。
娘が心細く視線を右往左往する中、背後よりの声。りんは、すぐさま振り返る。
「殺生…丸様」
男の方は彼女と違い、既に身支度を終えていた。りんはその様子と自分との様子の差に、僅かばかり恥じらうのか。頬がうっすらと染まる。
寝乱れた髪を手でぎこちなく触る。その様子のどれもがぎこちなく、また初々しかった。殺生丸が情を交わした女達と比べて、一段と幼いものに見えただろう。
だが、それだけだ。
特別彼の表情を変えることは出来ず、また感情を揺さぶることでもない。しいて云うならば、生娘を抱いたと云うぐらいか。感慨らしい感慨も、男のおもてからは伺えない。
「あの……せっしょ…う」
「これで、お前の気もすんだだろう」
殺生丸は、りんの言葉を遮るように告げると、凍てついた黄金色を相手に見せる。
「私はお前の望むようにしてやった。もう、いいな?」
「………」
りんは、一瞬息が止まるかと思った。今彼は、男は、何といったのだろう。
「住まう場所は自分で探せ、その代わり、食べるに困らない程度の金でも玉でもくれてやる。お前は、曲がりなりにもこの殺生丸の養い子だ。途中で餓死されては、蘇らせた天生牙の恥にもなろう」
「……で、でも……」
「それでも足りぬなら、一生遊んで暮らせるだけの額を用意してやる。土地でも屋敷でも、好きな物を買って暮らせ。荷物となる故、金以外は渡せぬが……不満はあるまい」
「ち……違う。そんなんじゃないよ、殺生丸様……りん、りんは……」
「抱けば、私がお前を引き留めるとでも、思ったか?」
妖の台詞は、一段と低く低く響く。
「それとも、私の子でも孕めると思ったのか? お前もしたたかになったな、りん」
顎を掴まされ、強引に囁かれた台詞に、娘は青ざめた。唇が震える。ぎゅっと、手を握りしめた。
「………り、りんは……」
「だが、生憎妖と人間とでは子が成しにくい、それにお前に昨夜飲ませた酒だが……不妊となるよう妙薬を混ぜておいた」
それから、殺生丸はぞっとするような顔で嗤う。
「私が、許す筈も無かろう。そのようなこと」
絶望的な台詞が落ちてくる。
最期の望みも、娘は失ったのだ。
男の云うとおり、彼女はしたたかだった。男が自分を抱けば、万が一子供が出来る。万が一が無くとも、その可能性がある。ならば、嘘を付いてでも側にいられよう。そう思っていた。
しかし、そんなこと、とうの昔に見透かされていたのだ。
「お前の浅はかな考えなど、この殺生丸には通じぬ」
見下す瞳が、娘の心を突き刺すよう。
自分は失敗した。りんはそう思った。
それも、取り返しの付かない過ちを犯したのだと、惨めさを噛みしめつつ思い知らされた。
いやあああああああああ、ハジが見れなかったよう。一週間の楽しみといえば、ハジを見ることだったのに(大げさすぎ)
サイトの更新作業していたら、あっちゅうまに六時半過ぎてました。思わずよろめいてしまった、夕刻なのです。
それでもって、今夜の殺りんは……覚え書き。
「半妖」「残酷」と、時間軸が違う同設定のお話を書いたので、連作風にもうちょっと書いてみたいなと思ったのです。拍手でコメントも貰ったのでv
某K様、拍手コメント有り難うございますvv 半妖気に入って下さったので、調子に乗った私の妄想も膨らみました。
で、書きたいシーンの覚え書きをしておこうと思ったのです(苦笑)
多分、何かこじれるようなことがあって、見事にこじれた後だと思って下さい。
私はこういう殺生丸様が、結構好きですv
あとで回収する時は、台詞こそ同じだと思いますが、地の文章が色々加筆されているかと思われます。
りんは衣擦れの音で目が覚めた。
頬には柔らかな感触。上等の絹だとは、すぐに知れた。何しろ、この屋敷で一番良い部屋にいるのだから、当たり前だろう。
目を開ける瞬間の何とも云えない、心地が胸を満たす。僅かばかりの期待と緊張。淡い恥じらいと、身体に残る倦怠感。
この時まで、りんはまだ幸せだった。
色々と心身共に辛いことがあったが、しかし全て洗い流せる。消えてしまうと、信じていた。彼女は昨夜の熱を覚えている。つま先から、指先まで、全部が覚えていた。
忘れるはずがない、忘れるはずもない。
女性のしたたかさというのか、打算と云うべきか。りんには一つ確信があった。いくら彼でも、無かったことには出来まい。例えそれが一方的な要求でも、首を縦にしたのは男の方。
ならば、その後のことでさえ縦に振るだろうと、そんな事も含めて、りんは妖に願ったのだ。
これが最期の綱、望みの一歩。
りんには最初から、何も無い。この自分の身体一つ以外、何も持ち合わせていないのだ。
だからどうか、自分だけを見て欲しいと希う。
うっすらと目を開ける。
望む相手は隣には既にいなく、黒い瞳が虚空を彷徨う。それから、小さく名を呼んだ。
「殺生丸様―――」
娘は知らなかった。
殺生丸という男がどんな者であるかを、彼女は見誤っていたのだ。
「起きたか」
鋼の声が響いたのは、そんな時だった。
娘が心細く視線を右往左往する中、背後よりの声。りんは、すぐさま振り返る。
「殺生…丸様」
男の方は彼女と違い、既に身支度を終えていた。りんはその様子と自分との様子の差に、僅かばかり恥じらうのか。頬がうっすらと染まる。
寝乱れた髪を手でぎこちなく触る。その様子のどれもがぎこちなく、また初々しかった。殺生丸が情を交わした女達と比べて、一段と幼いものに見えただろう。
だが、それだけだ。
特別彼の表情を変えることは出来ず、また感情を揺さぶることでもない。しいて云うならば、生娘を抱いたと云うぐらいか。感慨らしい感慨も、男のおもてからは伺えない。
「あの……せっしょ…う」
「これで、お前の気もすんだだろう」
殺生丸は、りんの言葉を遮るように告げると、凍てついた黄金色を相手に見せる。
「私はお前の望むようにしてやった。もう、いいな?」
「………」
りんは、一瞬息が止まるかと思った。今彼は、男は、何といったのだろう。
「住まう場所は自分で探せ、その代わり、食べるに困らない程度の金でも玉でもくれてやる。お前は、曲がりなりにもこの殺生丸の養い子だ。途中で餓死されては、蘇らせた天生牙の恥にもなろう」
「……で、でも……」
「それでも足りぬなら、一生遊んで暮らせるだけの額を用意してやる。土地でも屋敷でも、好きな物を買って暮らせ。荷物となる故、金以外は渡せぬが……不満はあるまい」
「ち……違う。そんなんじゃないよ、殺生丸様……りん、りんは……」
「抱けば、私がお前を引き留めるとでも、思ったか?」
妖の台詞は、一段と低く低く響く。
「それとも、私の子でも孕めると思ったのか? お前もしたたかになったな、りん」
顎を掴まされ、強引に囁かれた台詞に、娘は青ざめた。唇が震える。ぎゅっと、手を握りしめた。
「………り、りんは……」
「だが、生憎妖と人間とでは子が成しにくい、それにお前に昨夜飲ませた酒だが……不妊となるよう妙薬を混ぜておいた」
それから、殺生丸はぞっとするような顔で嗤う。
「私が、許す筈も無かろう。そのようなこと」
絶望的な台詞が落ちてくる。
最期の望みも、娘は失ったのだ。
男の云うとおり、彼女はしたたかだった。男が自分を抱けば、万が一子供が出来る。万が一が無くとも、その可能性がある。ならば、嘘を付いてでも側にいられよう。そう思っていた。
しかし、そんなこと、とうの昔に見透かされていたのだ。
「お前の浅はかな考えなど、この殺生丸には通じぬ」
見下す瞳が、娘の心を突き刺すよう。
自分は失敗した。りんはそう思った。
それも、取り返しの付かない過ちを犯したのだと、惨めさを噛みしめつつ思い知らされた。
スポンサーサイト