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2013'05.12.Sun

オートマタ

こんばんは皆様。お久しぶりですのほうが、正しするい気がする管理人です。

ピクシブの方に昔打っていたうさ耳ネタをいぬ耳にして、UPしました。続きとかあんまり考えていなかったのですが、打てそうな気もしないような、気もするので、打ってます。


でもって、以下の感じまでしか作業進んでません。

二話目(?)はご母堂様が出て来るあたりまでが目標なんですが……っていうか、そこでぶち切れな感じ(苦笑)



 りんは思わず頬を膨らませてしまう。リスの頬袋みたいにまん丸に膨らませて、眉を寄せてしまう。
(殺生丸様はりんだけのわんこさんなのにっ!)
 今日は小学校の授業参観日。朝からクラスの誰もがそわそわしてて、いつもより張り切って授業を頑張っている。りんだって、同じだ。だって、今日はりんの大好きなわんこさんが学校に来てくれるのだ。だからりんは前の日にいっぱい勉強したし、今だって担任の先生がする質問だって魔法のようにすらすら解ける。同じように、気合いの入った挙手をするライバルも多いけど、りんだって負けてない。
 とはいえ、りんは自分の背後のほうがすごく気になっていた。かすかな囁きと浮ついた空気。りんの身長は平均より低いので、どうしても席順が黒板の前の方になってしまう。だから、振り返りたくてもそうそう振り返られない。ああ、でもやっぱりとっても気になってしまう。
 だって、だって、だって───殺生丸様が見に来てくれてるのに!
 このクラスの女の子も女の人もみんな、みんな、りんのライバルになっている。眉を寄せて、りんはやっぱり拗ねてしまう。膨れた頬はふくれっ面のまま改善できない。どうして、担任のあの先生はいつもよりおめかししてるの? とか、誰かの香水の臭いが漂ってきたりするとか、よそ事ばかり考えてしまう。
 そもそも、家庭訪問に来た時だってそうなのだ。担任の先生はいつもは優しくて、りんのお話だって聞いてくれるのに、りんのお家に来た途端、否、殺生丸様に会ってからすっかり惚けてしまった。だから、今日のおしゃれの念入りさが気にくわない。
 先々月、先生には恋人がいるって言ってたのに、嘘つきと思ってしまう。



 りんの大切な、寂しがりのわんこさんは特別製。オートマタというロボットの種類で、頭に素敵きなお耳がついている。いつも美味しいおやつとやっぱり美味しいご飯を作ってくれる、大切なりんのわんこさん。
 りんとずっと一緒にいてくれる約束をしてくれた、りんだけのわんこさんなのだ。
 そもそも、りんが殺生丸に出会ったのは、多分半年以上は前で、でも一年は経っていないぐらい。何しろ、りんはあまり覚えていないことが色々ある。
 りんの両親は一年前ぐらいに事故に巻き込まれて亡くなってしまった。原因はよく分からないけど、とっても大きな事故で、りんも一緒に巻き込まれたのだという。殺生丸様が説明してくれたのだから、きっと本当の事だと思う。
 りんの両親は共働きで、父も母も忙しくて、いつも難しいことばかり考えるお仕事ばかり。りんは小さいから全然分からないが、何処かで大切な研究をしていたのだ。それはとても長い研究で、でもやっと目処が立っただろう。小さなりんを連れて、旅行に出かけることになったのだから。
 その旅行の途中で、大変な事故に巻き込まれたのだ。そして、りんの両親はこの世からいなくなってしまった。
 りんも怪我をして、危ない状況だったらしい。旅行に出かける時は夏だったお空が、病院で目覚めた時どんよりした雪雲に覆われるぐらいに、りんは長く入院していたらしい。
 真っ白い病室はりんだけの個室。まぶたを開けた先、一番最初にシミの無い純白の天井、次には曇った空と窓、そして点滴のチューブ。ひとりぼっちのお部屋はとっても静かで、りんはどうしてこうなっているのか、全然分からなかった。りんのお父さんとお母さんは仕事が忙しく、りんはいつもひとりぼっち。本当は兄弟が欲しかった。優しいお姉さんかお兄さんか、可愛い弟か妹が欲しかった。
 でも、我が儘は言えない。だって、忙しくてもりんの両親はりんの事を大切にしてくれていて、それは疑ってはいけないことなのだ。時々電話がかかってきてりんとお話しする時は、いつもりんの事を「大好き」って言ってくれたから、お誕生日には大きなぬいぐるみだって買ってくれたのだから、側にいなくても我慢しなきゃと思っていた。
「………」
 父親を呼んだつもりで開いた口はうまく言葉にならなかった。どうして、声が上手くでないのだろう。久しぶりに動かすように、舌も口も回らない。
 次には、お母さん。
 でも、やっぱり上手く言葉にならない。
 そもそも、動くことが億劫で体に力が入らない。ずっと寝ていたように、なんだか起き上がれないのだ。そのままじっと天井を見ていると、どうしてだろう。真っ白のお化けみたいにぐにゃりと、視界が歪む。温かいものが頬を伝った時に、りんは泣いてしまったと気がついた。りんはお利口さんだから、一人でいても、そうそう泣いたりしないのに。だって、そんなに泣いてもりんはひとりぼっち。お父さんもお母さんも、なかなかお家に帰ってきてくれない。
 お家にはご飯を届けてくれる人がいて、お腹が空いて困ることは無いけれど、ぬいぐるみと一緒のテーブルはどこか寒くて、りんは沢山食べることができなかった。
 いただきますも、ごちそうさまも、りんは忘れたりはしない。時々かかってくる電話で、ちゃんと良い子にしてるって言えるからだ。好き嫌いだってしない。そうやってちゃんとしていると、お父さんもお母さんも、りんは良い子だねと褒めてくれて、そして、とっても安心したような声を出す。
 上手く声は出せず、自分がどうしてこうなっているのかも分からない。分からないと言うことは、年齢に関わらず恐ろしい。幼子とて例外では無く、上手く出せない声はそのまま様々な言葉に成り代わろうとし、けれども単語すらままならない。
 何度か口を開閉し、やっと絞り出したのは言葉と言うよりは鳴き声のようなものだった。
 そうやって掠れた呻きを繰り返した時、りんは真白の天使様を見た。
 男の人が側にいたのだ。

「私がいる」

 彼はとても優しい、優しすぎて手放せなくなるほど心地良い声で言う。
 ビロードのような指が、眦の滴を払った。

「私が、ずっといる」

 敬虔な信者のように、彼は彼女に頭を垂れた。

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